(続き) 私自身はKのことをどう思っていたかというと、無口ではあるが素直で、コミュニケーションさえうまくとれればきっといいやつだろうなと思っていました。
おもしろいことがあればKも笑顔になりますし。声は出さないけだけで。
その笑顔は彼に対して「暗い」というイメージではなく、「おとなしい」というイメージをもたせていたのかもしれません。
MがKを誘おうといったとき、私は「うん、そうしよう」と言って賛成しました。
本当を言うと普段一緒にいることのないクラスメイトと行動することにほんの少しためらったかもしれません。
でも、この大勢いる中でMはよく気がついたなぁと思いました。
いつもアホなことばっかしてるMだけど今回は感心しました。
そして自分たち4人はディズニーランドの○○マウンテンとつくものを片っ端から乗りまくりました。Kは何もしゃべりはしないけれど私たち3人にしっかりついてきました。
「次、スペースマウンテン行こう。Kいい?」
と聞くと、ほんの少しだけほほ笑んでうなずきます。
乗り終わったあと、
「ちょっとこわかったなー。気持ち悪くならんかった?大丈夫?」
と聞いたときも、同じようにうなずきます。
そのようにしてディズニーランドの一日は終わりました。
次の日からは都内の見学としてあらかじめ決められた行動班があったのでKとは別のグループになったけど、また、おとなしくついていったのかなあと勝手に心配したり。
そんなこんなで修学旅行も終わり、学生生活も過ぎていきました。
あの修学旅行から一年、みんな卒業してそれぞれの道を歩んでいました。
その後、私はKを一度だけ街で見かけました。
そのとき「おはよー」と挨拶したら、Kは相変わらず言葉を出さなかったけどにっこりと笑いました。
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